養護学校の進路研修会−その6−

フリートークはその後、N君の就職に関しての具体的な質問がいくつか出た。
まず、ズバリ「どうやって就職できたんですか?」
あまりにストレートすぎる聞き方にちょっとビックリ。
N君のお母さんから「卒業してすぐには就職できなかったので作業所に行っていましたが…」と経緯の説明があったが、少し言葉足らずな感じがしたので私の方からも説明。


・パン屋の開業に際しては正式にハローワークに求人を出した。
・面接日にはハローワークの紹介状、履歴書を持った障がい者9名が集まり、そのうち3名を採用した。
・求職者はあらかじめハローワークに求職の登録をしてある。
ハローワークには障がい者雇用の窓口があるので、そこで相談すればいい。
ハローワークでは求人があればその内容とマッチしそうな人には情報を連絡してくれるはず…


保護者のみなさんはハローワークを介するという知識はほとんどなかったようで「ほほぉ〜」というような表情をされた。
なので私は「仕事をさがしている健常者と同じことですよ。障がい者でも求職者は求職者です。」とさらに言葉をたした。


さらに「どういう人が採用されるのですか」の質問


これには一般的にどうかというより、全く私の個人的な意見で申し訳ないのだけれど、常日頃思っていることを率直に言った。


何ができるか、何ができないか、ということは問題ではない。最初は「何もできい」ものだと思っている。障がい者だからできない、と思っているわけではなくて、大卒の健常者であっても新入社員というものは、ほとんど何もできない、使い物にならない、そういうものではないか?
それよりも、勤め始めたあとどれだけ伸びるのか、その可能性が重要。
人の話を聞き入れられるのか?辛抱強く努力を重ねられるのか?
こういう抽象的な条件をあげていくと、その内容は健常の新入社員に求められていることと、全く同じだということに気づかされる。
フリートークの場では言わなかったことだが、こうして整理していると「働く意志」というのが最も重要なことのような気がする。職場で一緒に働くということは、チームを組んで同じ目標に向かってすすむということ。ウチの場合はパンの売上げですな!その目標に向かってともに「働く意志」。できることはそれぞれ、スピードもれぞれ、であっても「働く意志」があるのと、ないのとでは大違いである。
知的障がい者に「強い意志」を求めるのは難しいことかもしれないが、その人なりの意志力でもって「働きたい」という想いを持っていてほしい。働きたい人に働いてもらいたい。働く意志のない人や、働くことで喜びを得られない人には働く場は提供できないのであります。


と、いうような濃い話はさすがにその場ではできず、今こうやって打ち込んでいて一人で盛り上がってしまった。


「えっと、それからウチの場合は食品を扱うので、見た目の清潔感も大事ですね」


と、今にして思えばいささかマの抜けた発言をした。