職場での性別による役割分担

…は、よくない、らしい。我がパン屋でもそれは好ましいことではない。と、最初は思っていた。しかし、現実問題となると違ってくる。
現在ウチには3人のメイトがいて、うち1人は女性。最初は3人に同じような仕事を与えていた。「こんなことならできるかな」「あんなことならどうだろう」という具合に、いろんなことを試行錯誤。それぞれに、簡単にできることもあれば、到底無理そうなこと、練習すればなんとかなりそうなもの…いろいろとあることもわかってきた。
優先順位の低い仕事として、洗い物というのがある。刷毛やヘラ、スケッパー、ボールといった調理用小物や休憩時に使うコーヒーカップなど、あまり急を要さないので溜め込んどいては手が空いたときや必要に迫られた時に健常スタッフがバババと洗っていたのだが…「これぐらいはできるんじゃないか?」とある日気付き、3人に質問。


「お茶碗とか、洗ったことある?」
おしゃべりなIちゃん(女性)は即座に「はいっ!いつも家でやっています」
先日、ハタチになったばかりの男性は「やったこと、あります」(ぼそっ)
そして一番年長者であるAさん(33歳)は「やったこと、ない」
う〜ん、そうか、やったことないのか…たった3人の事例で判断するのはちょっとアレですが、Iちゃんは女性ということできっと親御さんが家庭でキチンと躾けていらっしゃるのでしょう。「家事ぐらいはきちんと…」という思いがあるのではないか、と推測される。
ハタチの若者は、昨今の男子らしく男女分け隔てない教育の成果があって「やったことぐらいはある。」らしい。
そして33歳のAさん。彼のお母さんは私より上の年代だ。息子に皿を洗わせるなんて、考えもつかなかったのだろうことは想像しやすい。


今まで洗ったことがないのなら、いい機会ではないか!この職場でお皿を洗うことを覚えれば、家へ帰っても忙しいお母さんの手助けにもなる。働くことによって、できることが増えていくのは生活の質の向上にもつながるし…
ということで、まずは昼食のあと給食センターから配達されるお弁当箱を洗う練習から始めてみた。別に洗って返す必要はないものなので、かえって気楽だ。1週間ごとに当番を決めてやってもらっている。ここは3人平等に


と、ここまでは何ら問題はないのであるが、仕事の中で発生する洗い物となると違ってくる。「急ぎ」であることと、「ちゃんと仕上がる」ことが重要なのでついついIちゃんに頼んでしまう。また、彼女も自ら進んでその仕事に取り掛かってしまう。彼女は、細々と気がつくタイプなので洗い物をするにもやることが細かい。しなくてもいいことまでしてしまったりするから、単純に「Good Job!」とは言いがたいけど。しかし、ついつい「おまかせ」してしまうのだ。男子だと、促し、確認などが必要になってきて忙しいときにはそれらのことが煩わしい。


また逆にIちゃんには苦手な仕事がある。それは天板拭き。パンを焼いてこびりついた焼け焦げをヘラでこそぎ落とすのだけど、非力な故になかなか天板がきれいにならない。ちょっとしたコツもあるのだけど、それもつかんでいない。自分では一生懸命やっているのだろうけど成果があがらないので、根負けしてしまい途中で放棄してしまいがち。こっちも忙しいので根気よく指導したり、促したりしているヒマはなく「じゃ、あなたは別の仕事ね」となりがち。


これらのことを「適性をみて仕事を割り振っている」と思えばいいのだが、時々「これって性差による役割分担なのか…?」と、いらぬ疑問が沸いてきたりもする。やっかいなことだ…