メイトさんの経過報告

健常スタッフの騒ぎはわかったけど、その「えいぶるメイト」(知的障がいのある実習生)はいったい何をしてるんだぁ?パンを焼いてるの?焼いていないの?


結論から言えば、焼いていません。トレーナーによる実習は健常スタッフが集中的に行っています。だいたい、6人も実習生を受け入れることは無謀だった。(と、今さらですが)自分で自分のダンドリも組めないのに、実習受け入れなんて無茶なことです。しかし、受け入れてしまったものはしょうがない。お互い、できることからやりましょう。
初日は焼きあがったパイを入る紙箱を作ったり、翌日のために冷凍生地をだして天板にならべたり、ということから始めました。
二日目は火入れ式がありその後、パン生地の丸め方などをトレーナーから教わりました。これがなかなか難しく、トレーナーの細かい注意を(力の入れ方や生地の取り扱い方)理解できなかったりして教える方も、教わる方もどっと疲れました。
最初の1週間は使った天板を拭いたり、生地出しをしたり、あいまにパン生地の丸めの練習をしたり、最後に掃除。パン生地丸めは気長にやるしかなさそうなので、最初にした時のように厳しい注意はせず、ただもくもくとコネコネ。コネコネされた生地はまた冷凍庫にいれて休ませて、翌日解凍してまたコネコネ。ずっとこれを繰り返し、先週のおしまいには「もう、この生地は捨てるしかないな…」と、トレーナーに言われてオーブンで素焼きして処分しました。生で捨てると醗酵して匂いを放ち大変なことになるそうです。なんだかパンのお葬式みたいな気分でした。焼き上がりはコンガリと狐色でこだわりのハード系のパンのような風情になり、捨てるのが惜しい!しかし、食べてみる勇気もなく心の中で手を合わせ燃えるゴミの袋にポイ!


先週後半あたりから、NPO会員の養護学校のお母さんたちがシフトを組んでメイトさんのサポートをしてくれるようになり、手の洗い方の指導(看護師さんによる!)や健常スタッフが焼いたパンの袋詰め、挨拶の練習などなど、実習の内容もだんだんと充実してきました。毎日、翌日焼くパンの準備を手伝ってもらい、予想していたのよりはるかに能力の高い人たちであることを実感。それぞれに苦手なこともあるけれど、一人ひとりの得意なことを理解しつつ、その人にあったテンポで、的確な指示を出せばキチンとした仕事をしてもらえるのです。ただやはり6人というのは多すぎ。メイトさんはみな毎日楽しそうに実習に参加しているけれど、私の心の中では「早く3人の体制になって、実際のルーチンワークをやってみたい!」という思いが芽生えてきました。
今はパンを焼く前の工程(照りだし用の卵を塗ったり、ケチャップをかけたり)も、後の工程(粉砂糖をふりかけたり、アイシングをぬったり)も健常スタッフが行っているけれど、「この仕事は、あの人にやってもらおう」「これはあの人にむいている」ということがどんどんと思い浮かんでくるのです。
「このトッピングは、あの人ならきっと私よりも器用に丁寧に仕上げるよね…」早く、いっしょにひとつのパンを仕上げてみたい。メイトさんの実習は、残すところ2日となりました。明日はいよいよ、食品営業管理者講習に参加です。私が留守でも、みんなちゃんとやっててくださいね〜