進むべき道

何度も書くけど、ワタシは15年正社員でやってきて、子育ての一番大変な時期にそれ以上正社員として働くのは無理だと悟り、同じ会社でそのまま契約社員となった。


契約社員となって収入は半分近くに落ちた。けれども就業時間も責任も少なくなったんだからしょうがない。その代わり、荒れ放題だった家の中は少し落ち着きを取り戻した。娘の保育園のお迎えにも行けるようになった。しかし、子どもは成長する。日常生活の中で母親の手を必要とする細々としたことから、少しづつワタシは開放されていった。なので、避けていたPTAの役員などを引き受けるようになった。市立の小学校でPTAの役員をするということは、自治会をはじめ防犯や青少年補導など、いろいろな地域の諸団体とも関わりを持つということだった。だんだんと、仕事以外での活動に割く時間が増えていき、家庭での時間が減っていく。ワタシは、仕事と家庭と地域活動と3つのことを微妙なバランスを取りつつこなしていった。


でも、なんだかしっくりといかない。結局、どれも中途半端な感じ。仕事は生活のため、収入を得ることが目的の全てのようになっていた。家庭は大事。ワタシの生活の基盤。とはいえ、うっかりするとすぐ家中とっちらかってしまう。地域活動は…義務感かなぁ、やる人があんまりいないし、いたとしてもそのやり方を見ていると、ガマンできなくてついクチを出したり手を出したりしてしまう。ってことは、単なる義務感じゃないのか…


で、5年ほど前に連れ合いにぼそっと言ってみた。
「ナンだか、今のワタシって何もかもが中途半端。これからワタシの進むべき道はなんだろう。ワタシの前には3つの道があるんだけど…一つ目は、もっと仕事を一生懸命する道。正社員に戻ってバリバリやる。二つ目は、もっと家庭を大事にする道。ちゃんと掃除をしたり、アイロンをしたりして家事をおろそかにしない。もうひとつは…」
そこで少し、言いよどんでしまった。そしたら連れ合いが「ボランティア?」と、つないでくれた。

ボランティアかぁ〜、つまりはそういうことなのか?ワタシがやっている3つめのコトはボランティアっていうことだったのか?ワタシは自分で自分のやっていることをハッキリとは言い表せなくていいよどんでいたのだった。社会活動というのが一番近い言葉のような気がしたけれど、実際はそれほどたいしたことをしているわけではない。かといってボランティアというのとも違う。ボランティアというと、なんだか慈善活動のような感じ。慈善活動は貧乏人のワタシのやることではない。ボランティアという言葉に対するワタシの先入観かもしれないけれど、「ボランティア活動をやっています」と、胸をはって言うのはなんだか抵抗がある。


ワタシはなんとなく連れ合いは「家のことをちゃんとして」と答えるのかなぁと思っていた。しかし予想に反して「だったら、仕事じゃないケ。もっと稼がんと!」と言われてしまった。もっとも、「もっと稼がんと!」という言葉は冗談めかしていたから、あまり深い意味はなく単に、そう言うとウケると思ったのかもしれない。たぶん、そういう風に答えたってコトも今はすっかり忘れていると思う。


でも、そのまま中途半端な生活をダラダラと過ごし、ここまできてしまった。あの頃よりさらにトシをとり、もう正社員に戻りバリバリ仕事をするという時期は逸してしまった。家の中はあいかわらず散らかっている。そして社会も変わり、NPOという組織がどんどん増えていっている。NPOはボランティアとは違う。
日本NPOセンターのHPへ行くと
 NPOそれはわたしたちの未来
 新しい社会の構築と企業・行政とのパートナーシップの確立を目指して

と記されている。


はたしてワタシが、次に進むべき道はここなのか?漠然とした不安のようなものもある反面、「なんだかしっくりいかないなぁ」という気分でもない。ま、足がこっちへ向いてしまったんだからしょうがない。理事のみなさんが給料くれるって言ってることだし、鼻歌まじりにスキップでもしながら行くとしましょうか…