本当にイカはそんなこと考えているのか?

ゆうべ、連れ合いがテレビのチャンネルを無目的にいじっていたら海底のイカが映し出されていた。画面からはヌメヌメと不気味な存在感と異様な雰囲気が伝わってくる。なんだか圧倒されて、しばしそのチャンネルに留まった。不気味な存在感と異様な雰囲気の元はそのオスの生殖本能から発せられているようだ。イカのオス2匹が1匹のメスを巡って威嚇と攻撃を繰り返している。イカがあんなにいろんな動作をするのを初めて見た。しかも素早く力強い。体格も力も均衡している2匹はしばらく絡みあったり縺れあったりしていたが、決着が付き1匹は退散。勝ち残った1匹はすぐさまメスにムンズと近づき生殖行為を行なった。ナレーションは「寿命が2年のこのイカにとって一生のうちでただ一度の交接。強いものにしかチャンスは与えられない」と言っていた。なんだか過剰に感慨深げな語り口だった。


いやぁ、イカも大変だなぁ〜。なかなかすごい戦いでしたよ。と、思う間もなく画面にはまた別のイカの様子が映っている。今度は雌雄1対となって今まさに!という瞬間、大きなオスが現れて先に居たオスはあっさりとメスから引き剥がされてしまった。今度は激しいバトルもなくあっと言う間にメスは後からきた大きいオスにすっぽりと覆い尽くされてしまった。先のオスはなす術もなく辺りを漂っている。
そこでまたナレーション「今まで自分の腕の中にいたメスが別のオスに抱かれている。しばらく恨めしそうに見ていたが…」
えっ!何、それ!イカってそんなに情緒豊かなの?ナレーションはうろ覚えだけど、確かにこんな感じでありました。ワタシの脚色ではありません!むしろ、もっといろいろコテコテに言っていたような気もする。


いったい、この番組の編集者のセンスはどうよ!ナレーションを聞かなかったら、生き物の自然の営み・本能というものの迫力に恐れ慄いたに違いない。それほどオスの動きには圧倒的な力があった。なのに、3流演歌歌詞みたいなヘンなナレーションをかぶせて、ドラマがネタに成り下がってしまった感じがする。きっと、オヤジだな!コレ作ったのワぁ〜と、根拠なく断定してしまう自分もナニですが…なんとなくね


「交接」という言葉を使っていたのもなんだかひっかかった。理科の授業や、生き物関係の記録映像などではたいてい「交尾」の方を使いまへんか?「交尾」の方はなんとなく、目的がハッキリと「生殖のため」に限定されている感じがする。しかし「交接」と1文字変えただけで、ちょっぴり情緒的な雰囲気をかもし出すような気がするのは、ワタシだけ?この番組制作者はものすごく情緒的なオヤジなのかなぁ〜、と勝手に想像してしまうワタシなのであった。


番組のチャンネルもタイトルも確かめなかったから、確認のしようもないけど、アレ見てた人はどんな感じを受けたのかなぁ…
ちょっと、気になるね