働くことは生きること−NPOえいぶる−

10月に認証されたばっかの我々のNPOであります。
えいぶるは
 知的障がい者を雇用することを前提とした事業を立ち上げ、運営していきます。
 知的障がい者の社会的認知と、地域の障がい者福祉の増進に寄与します。


で先日、仕事を休んでくろべ工房の見学に行ってきました。
http://www.pan-gomasenbei.com/
同行したのは高岡市手をつなぐ育成会中高等部会の保護者のみなさん。
同行というよりかは、育成会の研修会にワタシが勝手に割り込ませてもらっただけ。(*^^)v


「えいぶる」ではパン屋を開業する予定なので、くろべ工房の授産活動であるパン作りを参考にさせてもらおうというワケです。
えらそうなことを言っているけれど、授産施設の見学はこれが初めて。くろべ工房は今年の春に改築されたばっかりの明るくキレイなところ。施設長さんも若くて爽やか〜(ワタシよりも若いって意味ですが)3階のパン工房には11人いる!パン製造長(?)さんはテキパキとしたステキな感じの女性で、途切れることなく作業を続けていらっしゃった。反対側のコーナーでは、焼きあがったパンの袋詰め作業。袋にシールを張ったり、いろいろ細かい仕事をみんなで分担しあい、和気藹々と作業が進められていた。いろんな人がいて、どの人が利用者なのか職員なのか一瞬にはわからない。ただハッキリしているのは、パンを焼いている人と、袋詰めの人達とが同じフロアにいながら、それぞれに全く違うペースで仕事をすすめているということ。お互いがお互いのペースで進めている。そしてそれが全体として調和がとれている。どちらかがどちらかのじゃまをするわけでもなく、プレッシャーをかけているわけでもない。商品として仕上がったパンは整然と箱に並べられ次々と階下におろされていく。


明るい雰囲気のパン工房をながめていて、モヤモヤしていた気持ちがイッキに消し飛んだ。


なんとなくまわりにノセられて(と、言うと無責任な感じだけど、ワタシっていつもそうなんだ)事務局をひきうけることになり、人事・財務・営業・広報はもとより、開業予定のパン屋やその他の運営を軌道にのせて廻し続けなくてはいけない。そのために、今の仕事からも撤退することにした。


決心したことを家族や上司、近しい人達に告知していく段階で
「大丈夫、何とかなる。それぐらいのことは、できるはずだ」
「できなかったら、どうしよう。福祉のこともパン屋のことも自分は何にも知らないじゃないか。そんなに、何もかも思い通りに簡単に行くはずがないじゃないか…」
強気になったり弱気になったり、楽天的になったり悲観的になったりの繰り返し。


くろべ工房では、お昼すぎまでパンを焼き午後からは宅配をしているそうで、当初予定の4倍の実績をあげている。しかし、くろべ工房は授産施設だ。私たちは施設ではなく、あくまでも一般の普通のパン屋。普通のパン屋の従業員にたまたま障がい者がいうんだよね、という形態である。おのずと目指しているものや、ありようも違ってくる。くろべ工房で袋詰めをしているのは「利用者さん」で、「えいぶる」のパン屋では「従業員」だ。従業員が自立するための賃金を確保しなくてはいけない。そしてこれは個人的にはもっと大事なことなんだけど、専従職員としての私の賃金だって確保しないといけないのだっ!!!(これ、ホンネ)


ここでまた不安になったり、明るくなったり…


とりあえずは、なんとか平和(?)に商品は仕上がっていくんだな、という確認はできた。それだけでも昨日の収穫は大きかった。
帰り際に施設長さんからありがたいアドバイスをいくつかいただいた。
「オリジナルパンがあるといいですね。ウチのはなかなか美味しいンですよ。口コミでお客さんも増えています。それから、やっぱり”やる人”が一番大事ですね。ウチはいい人にお願いできてよかったんです。」(てきぱきパン製造長さんのことらしい)
「ウチは、このあっぷあっぷさんに全部おまかせするんです。」(←同行していた、えいぶる理事)
へっ!マジすか?その時ワタシの顔に不安のカゲが浮かんだのをすばやく見て取った施設長さんは
「あっ!この方なら、大丈夫。顔みりゃわかりますよ。『ワタシやるわよ!』って書いてある」
やっぱ、こういうところの施設長さんは人を乗せるのが上手だよね。またまた、その気になるワタクシでありました。


「では、みなさんのお店ができたら、おじゃましますよ。」
「はいっ!私たちもオリジナルパンを作って待っていますので、ぜひお越しください。」


あ〜言っちゃたよぉ〜〜同行していたお母さんたちから感嘆とも悲鳴とも言えぬドヨメキがぁ〜


ほとんどの種類のパンを買い込んだ私たちは帰路の途中で試食タイム。食べすぎで気分悪くなったお調子もんが1人おりましたとさ…