店長見習登場

実は4月1日から我がパン屋さんには店長見習いM本さんが出勤しているのであった。
聡明ででしゃばらず、器用で愛嬌もあるM本さんに去年の秋ごろからNPOのハナシを少しずつしてやわやわと囲い込んでいたのだけど、丁度仕事の契約が3月で切れるので4月からの採用となった。
彼女には特別な支援の必要な小学生の男の子がいる。そして連れ合いは養護学校の先生。なので、うちのようなNPO、うちのようなパン屋さんにはご家族そろって興味、理解、関心がある。(と、ワタシは勝手に思っている)ワタシのようにパッションだけのオバカさんではないのであった。メイトに対する接し方や指導の仕方も素晴らしい。たぶん今までいろいろな文献やWebや講演などから得た知識、日常の経験などから知らず知らずのうちに身についたものなのだろう。「そういう風に言えばいいのね」「そうしたら伝わるのね」と、思わせるられことが多々ある。理事長などは専門職の人かと間違えたほど。


しかし、彼女にとってもはじめてのパン屋さんという職場はなかなか大変なのであった。4月は仕事の内容、段取りを頭と身体が理解するのに精一杯。5月はようやく慣れてきて、今はワタシといっしょに職場改善の真っ最中。とにかく、やみくもにパンを焼く毎日から脱却したい、というか二人とも一刻も早く仕事を終えて家に帰りたい。もう「障がい者のため」でもなんでもなく、それぞれの幸せな家庭生活のために、いかにしたら効率よくパン屋さんの仕事がまわるのかを考え実践しているのがこの6月なのでありました。ここ1、2週間でいろいろ成果は出てきているけれど、まだ劇的な変化はない。(つまり、まだ7時半頃までパン屋にいる)まぁ、徐々にではありますが良い方向に進んでいることを信じて、明日もがんばろう。


問題は彼女が自分は「店長見習い」だとは思っていないこと。


「ごめんね、今はこれだけしかお給料出せないの。でももう少ししていろいろ見通しがたったら店長手当てもつけるからね」
「とっ、とんでもありません。店長手当てはいりません!そんなものは決していりません!」
「そんなこと言わないでねっ、ねっ、今度『ぼ●じゃこ』でゆっくり話そうね!」
「あっ!いいですねぇ、お好み焼きつつきながら、生ビール飲みましょう!」


…すでに店長見習いのことは頭にないようである。